一生現役。引退しない生き方
を提案するメディア

<不定期連載>ルージュ世代におすすめの“ちょいイケ”ワイン③
人間と同じく、ワインも齢を重ねていくと味が出る

プレゼンターの加藤勝也さん(左)と聞き手のとがみ

華やかなことが大好きなルージュ世代に、ちょっとひねりの効いたワインをご紹介する不定期連載企画!
プレゼンターは『パーソナライズワイン診断』記事でお世話になった、ワインコンサルタントの加藤勝也さん。聞き手兼ライターは、50歳を機に勉強を始めワインエキスパートを取得したとがみ淳志で、ともにルージュ世代ど真ん中。これからのワインライフが充実するおすすめの1本を、ふたりで紹介していきます!

第3回目は、フランスのブルゴーニュ地方で醸された白ワインです。


出荷まで蔵で眠り続けてきた、熟成ワイン

【とがみ】 『ルージュ世代におすすめの“ちょいイケ”ワイン』の3回目。日々寒さが増してくるこの時期に、まさかの白ワイン!

【加藤】 はい。でも、軽やか&フレッシュではなく、年末年始の宴をしっかりエスコートできるベテランサービスマンのような白ワイン。齢を重ねて魅力の増した熟成ワインの紹介です。

【とがみ】 “熟成”って、まさにルージュ世代にぴったりのワード!貴重なヴィンテージワインが重宝されるのは分かりますが、どんなワインでも熟成したら美味しくなるわけではないですよね?

【加藤】 ブドウ自体のポテンシャルが高くないと、熟成には向かないんですよ。熟度と糖度の高いブドウを手摘みして選別するんです。あと酸もないと…。こうした “エリート”のブドウのみで醸されたワインのみ長期間の熟成ができて、長い年月の中で味わいも深くなっていくのです。この『アンドレ・ボノーム / マコン ヴィレ 1997』はシャルドネ100%の白ワインで、今年26歳になりました。

【とがみ】 1997年といえば、サッカーのワールドカップ初の本選出場を決めた年ですよ。“野人”岡野選手の決勝ゴールが、懐かしいなあ。ただマコン地区は、フランスの世界的なワインの銘醸地・ブルゴーニュ地方にはあるものの、飲みやすい軽やかなワインを造っているイメージで、熟成とは縁がなさそうなのですが。

【加藤】 気づきましたね。確かにマコン地区のワインは、フレッシュで気軽に飲めるワインが一般的です。でもこのワインを造ったアンドレ・ボノームさんは、ブルゴーニュ地方の中でも最高品質のワインを産するコート・ドール地区に匹敵するワインを造りたいと考え、実践してきました。このワインは蔵の中できちんと保管、熟成の頃合いをみて出荷されるため、コンディションもいいんですよ。

【とがみ】 なるほど。ちらっと値段を見て、「マコンで1万4000円も⁉」と狼狽気味だったんですけど、話を聞いてとてもお得に思えてきました(笑)コート・ドール地区の憧れ白ワイン『モンラッシュ』や『ムルソー』で、このヴィンテージだったら桁が違いますからね。さあここからは味わいを。テイスティングさせてください。

ルージュ世代よ、グラスは回すな

【加藤】 大切なのでサーブする前に言っておきます。絶対にスワリング(※)を、やってはだめですよ!このワインはデリケートですし、すでに開いている状態ですから。心地よいアロマが全て飛んでしまいます。

(※)グラスを持ってワインをくるくる回すこと。

【とがみ】 危ない、危ない。ルージュ世代は気をつけないと、反射的に回してしまうから(苦笑)温もりを感じるようなゴールドの外観で、冬でもいいですね~。レモンやライムのような柑橘系じゃなくて、カリンや洋梨、コンポートしたフルーツのような厚みのある香りです。

【加藤】 樽に由来するバニラやナッツの香り、あとキノコのような土っぽさもあって複雑でしょう。味わいはいかがですか?

【とがみ】 柔らかくて、滑らかなんですけど、ボリューム感もありますよね。酸味も果実味もほどよくて、バランスがいい。まるで球体のような味わいをもつワインだという感想です。

【加藤】 狙い通りのコメントいただきました!人間は年を取ると丸くなるとか、深みが出るとか言われますが、ワインも然り。両方とも若い時はいろいろ尖っていたところもあったかもしれないけど、穏やかになっていく…。この感じが熟成ワインの魅力なんです。

【とがみ】 では人が年をとると人との付き合い方がうまくなるように、ワインも料理との付き合い方がうまくなるのかな?

【加藤】 もちろん。ぜひ食事とともに味わってほしいワインです。旨みが豊かで、まるでお出汁のようなワインだから、和食との相性は抜群。おすすめは、多彩な味覚が詰まったおせち料理です。新年のお屠蘇ワインって華やかだし、粋でしょう?

【とがみ】 いいですね、おせちとワイン。でもワインだけじっくり楽しんでみたい気もしますが。

【加藤】 いいと思いますよ。ただ少しは何か添えたいですね。生ハム、パルミジャーノやミモレットなどのチーズとか。ポイントはともに、よく熟成したものを選ぶことです。熟成×熟成の相乗効果で、お互いの味をぐんと引き上げてくれるんですよ。ちなみに白ワインは通常家庭だと冷蔵庫で冷やしているので、5度~6度ぐらい。でもこのワインはしばらく置いて、10度ぐらいの高めの温度で味わってくださいね。


◆ワインデータ

『アンドレ・ボノーム / マコン ヴィレ 1997』
[生産者]/アンドレ・ボノーム
[生産地]/フランス・ブルゴーニュ地方・マコネ
[タイプ]/白ワイン・辛口・ミディアムフルボディ
[品種]/シャルドネ100%
[価格]/14,030円(税込)

◆ここで購入できます

①「wine@EBISU」で買う

[TEL]03-6303-3164
[住所]東京都渋谷区恵比寿南1-4-12岩徳ビルⅡ3F
[営業時間]ワインショップ、バーともに 月~金 12:00-23:30 土 12:00-22:00 日・祝 12:00-18:00
[定休日]不定休
[アクセス]JR、東京メトロ日比谷線「恵比寿」駅西口より徒歩2分

②「wine@オンラインストア」で買う

ワインコンサルタント/加藤勝也さん

1970年生まれのルージュ世代。大学卒業後、生活情報誌編集部、テレビ局などで勤務。2002年、ワインと食を学ぶため、渡仏。帰国後、ワイン専門雑誌『ワイン王国』に入社、経営に参画。ワインマーケットの現場で培ったノウハウ、食に関する知識と経験をもとに、2016年株式会社ワインアンドフードラボを設立。コンサルティングなどの実績多数。2021年より『wine@』を運営する株式会社ブロードエッジ・ウェアリンクの取締役に就任、現在に至る。

聞き手・文/とがみ淳志

1964年生まれのルージュ世代。(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。温泉ソムリエマスター。日本旅のペンクラブ会員。日本旅行記者クラブ会員。国内外を旅して回る自称「酒仙ライター」。40歳台半ばから取材をする機会が増えてワインに目覚め、50歳で一念発起してワインエキスパートを取得。専門雑誌『ワイン王国』や酒の啓蒙サイトなどで執筆中。

この「読みもの」をシェアする