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バブル期に人気を博した千堂あきほさん。現在の北海道での暮らしなどについて、語っていただきました。

千堂あきほさんインタビュー

1969年兵庫県生まれ。90年デビュー。
学園祭のアイドルとして全国でライブ活動。「オールナイトフジ」の司会や「マジカル頭脳パワー!!」で活躍。「東京ラブストーリー」や「振り返れば奴がいる」などトレンディドラマにも出演。
現在は北海道在住。
北海道漁協女性部応援大使

オフィシャルサイト

ボディコンを着て自分を演じていたバブル期

正直、私自身はバブル期の頃、ゴージャス、華やか、などの実感はなかったです。1990~1992年頃は、睡眠時間2~3時間。深夜の生放送をやり、全国30カ所の学園祭を周り…。現場と家の往復で、私の生活はいたって地味でした。見た目はボディコンを着て派手でしたけど(笑)。
それでも周りには、車を買ってもらったとか、高級ブランドのバッグをしょっちゅういただくという話を聞いたり、海外の仕事では飛行機はファーストクラス、NYのホテルはスイートルーム、とか、振り返るとあれがバブルだったんだな~と思いますね。そういえば『バブルへGO!!』というバブル時代をテーマにした映画の中で、タクシーを拾うのに札束を振って車を停めてたじゃないですか。あれは実際に六本木とかで普通に見てましたよ(笑)。
あの頃は、夢のある華やかで都会的な「千堂あきほ」像を演じなければならなくて、本当はクソ真面目で堅実な自分をすり減らしながら、とにかく目の前の仕事を消化するのに必死でした。

東京から関西、そして北海道へ

大きな転機は、1999年に刑事事件に巻き込まれたことですね。その頃はもう心が持たなくて、気力も体力も限界でした。ちょうど結婚したこともあり、違った形でリスタートしてみるのもいいかな?と思い、地元である関西に戻りました。ありがたいことに関西でも仕事を続けられて、10年ほど過ごしました。
2人目の子どもができたときに、縁あって北海道の病院で産むことになり、2011年2月に里帰り出産のため夫の北海道の実家にお世話になったんです。
その翌月に東日本大震災があって…。当時一人暮らしの義母のことも心配だったし、なにより北海道の自然の豊かさやおいしい食材、飾らない気さくな人々に触れ「あ、私が次に生きる場所はここかも!」って直感したんです。それで出産後そのまま、友達も知り合いもゼロなのに、迷いもなく北海道に移住しました。41歳の時ですね。

流れに乗ってシフトチェンジ

20代は、華やかな芸能界の第一線でお仕事させていただいて、30代で結婚と同時に優先順位が変わって、30代後半に子どもが生まれ…。
40代で2人目が生まれ、生活の優先順位1、2位が子どもで占められて、その次に家族、仕事、とシフトしていきました。
今思えば、約10年周期で、“こうしなさい”、“ここ大事よ”、という流れがきて、その流れに乗ってみようと思えたんです。結婚?よし乗ってみよう、子どもができた?うん、乗ってみよう。北海道で出産?乗ってみよう、って。
そんな流れに乗って、うまくシフトチェンジしてきた結果が、現在のライフスタイルにつながっています。今が一番、人間的に生きてるなあ~って思えますね。


20代の頃は自分自身と、演じていた「千堂あきほ」を割り切れていなくて、ボディコン着て、足出してヒール履いて踊っている自分を「ありえなーい!」って、内心思っていたけど、今は「こんな千堂いますけど、どうですか~?」と、いい形で自分自身と千堂あきほを分けてプレゼンできるようになりました。華やかな千堂あきほだけじゃなくて、この先、10年たっても、20年たっても、ネットに名前が出てこなくなっても、千堂あきほはここで生きているよっていう実感は持てるんじゃないかな。

これからも北海道で人間らしく生きる

北海道での生活は、子どもと共に成長してきた感じです。子どもが中心の生活になると、自然に食育や教育に目がいくし、そうすると農業や漁業にも関心を持つようになる。いま縁あって「北海道漁協女性部応援大使」をやらせていただいてるんですが、浜のかあちゃんたちと一緒に魚料理作ったり、海の活動に参加したりして本当に楽しい。これからの今の大きな夢は、米作りです!「北海道産千堂米」とか育ててみたいなあ~(笑)。

今はバブル時代の私を知らない人たちも多い。だからこそ現在の自分を新しい形で発信できるかもしれないと思っています。そしてあの頃の私を、心のアルバムの1ページに残してくれているバブル世代の人には「おい千堂、年取ったな~、おばちゃんになったなぁ~」って一緒に笑ってほしいです。今までは誰かのために、が優先で、自分のことは後回しだったんですけれど、これからの10年は、人間らしく生きることを第一にして、新たな「千堂あきほ」を考えてあげたいですね。

取材・文/高島 由佳
撮影/anker web studio

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