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誰もが知るヒット曲のパワーと共に
ずっと楽しく歌い続けていきたい

石井明美さんインタビュー

華やかなルックスと抜群の歌唱力で一躍時の人となった石井明美さん。今もなお精力的に歌い続けていらっしゃいます。人生を変えた楽曲との出会い、当時の思い出、そして、歌い続ける意義や楽しさについて聞かせていただきました。

石井明美さん

1965年生まれ。1986年、ソニー・ミュージックエンタテインメントよりデビュー。ドラマ「男女7人夏物語」の主題歌「CHA-CHA-CHA」が大ヒット。オリコン年間シングルチャートを獲得。「響きはTuTu」、「JOY」、「ランバダ」、アルバム『Monalisa』など、数々のヒット曲を飛ばす。現在は音楽番組、バラエティ、カラオケ特番、自身のラジオ番組「ミュージックフォトブック」(毎週放送中)等、幅広く芸能活動を行っている。

実は、全てが「お試し」的なドラマと主題歌だったんです。

大ヒットしたドラマ「男女7人夏物語」は、明石家さんまさんや片岡鶴太郎さんといった俳優経験の少ない芸人さんをキャスティングした初めてのドラマだと言われています。だから、ドラマ自体も「とりあえず試してみよう」という感じのスタート。その主題歌「CHA-CHA-CHA」を歌った私も、事務所的には「とりあえずやらせてみよう」といったスタートでした。

スカウトしていただいてからずっと専門的なボイトレは続けていましたが、入社2ヵ月目でレコーディング、4ヵ月目でデビュー、即大ヒット、となったんです!
ですから、ドラマのエンドロールを見た親から「石井明美って、お前のこと?」って電話がかかってきたほど誰にも知られていなくて。事務所の人ものんびり構えていたようで、曲がヒットしてから慌てて実家に挨拶に来てくれました(笑)。

六本木にいそうなアンニュイなイメージに反して、実は下北沢で焼酎が大好き!

急なデビューだったので、テレビ番組や取材の際の受け答えを練習する時間がありませんでした。そんなわけで番組中にあまりおしゃべりをしなかったこともあり、クールな人というイメージを持たれたようです。

曲の印象から、六本木でカクテルを傾けるアンニュイな雰囲気を求められていたのですが、実際の私は、“下北沢で焼酎”が当時の定番。まあそれは今も変わっていませんが(笑)。

だから、あまりバブルを実感するような華やかな出来事はなかったかな。当時は大好きな下北沢に出て行きやすいという理由で三軒茶屋に住んでいましたが、タクシーチケットを事務所から定期的にもらえたことが、バブル的な思い出、かなあ。

「CHA-CHA-CHA」を歌い続ける覚悟とポリシー

その後、子どもを授かり、しばらく休業していた時期もありましたが、復帰後は子どもの成長に合わせて歌い続け、今は地方に出向いたりもしています。

歌手として37年間歌い続けられているのは、ひとえに「CHA-CHA-CHA」が売れたおかげだと思っています。 私のことは知らなくても「CHA-CHA-CHA」は知っているという人も多いですし、それを私が歌うと、「CHA-CHA-CHAの人だ!」とすぐに分かってもらえるのが嬉しいですねぇ。

だからこそ私は、当時の音源と同じ歌い方、同じ雰囲気、同じ声質で歌うことをポリシーとしています。

年月を重ねて持ち歌の歌い方を変える歌手もいらっしゃいますが、昔の歌を聞きたい方は、「あの時のあの歌を聞きたい」と思っている方がほとんどだと思うんです。だから私は、歳を重ねて技術的に上達した要素は加えつつも、なるべく当時に近づけるように心がけて歌っています。

37年間歌い続けてもなお、初めての経験がたくさんあります。

とはいえ、当然「CHA-CHA-CHA」は歌い飽きたなと思ったこともありますよ。でもその気持ちはすでに二周りぐらいしていて、今はもう、飽きたという気持ちはありません。皆さんに期待していただいているのですから、しっかりと歌い続けようと思っています。

それに、続けていくことに大きな意味があると感じています。歌い続けることで、私の中に37年分の経験や技術の引き出しができているんですよね。

現在、夢グループ主催の「夢スターコンサート」に出演させていただいています。誰もが知るヒット曲をお持ちの歌手の皆さんが集うコンサートなのですが、実はその中で、私は一番年下なんです。先輩方の姿を見ていると「私なんてまだまだだな」と思いますし、往年のヒット曲のパワーを改めて感じています。

人生100年時代、100歳になっても自然体で過ごせたらいいな。

健康でいるために気をつけていることは、体が欲するものを食べて、よく笑うことかな。そして、よく歩いて、よく泳ぐこと。「ねばならぬ」で動かないことも大切ですね。

友人関係も、広く浅く付き合うのは若い頃までだと思います。いくら高級な食事をご馳走になったとしても、良く知らない人との駆け引きのようなお付き合いは嫌。気のおけない楽しい人と、楽しい時間を過ごしていきたいですね。

お酒は変わらず今も大好きです! よく食べて、笑って、一生現役で歌い続けていきたいと思っています。

インタビュアー:㈱エンファム.bjb編集部kotaro

取材・文/朝倉真弓
撮影/高嶋佳代

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