「周りにいる人たちが幸せなら、おのずと自分も幸せになれる」と思って日々過ごしています。
風間トオルさんインタビュー
爽やかで整った顔立ちと抜群のスタイル。バブル時代が始まる直前にメンズノンノで一躍人気モデルになり、その後1989年にトレンディドラマで俳優デビュー。還暦を迎えた現在も変わらぬカッコよさとは裏腹に、その素顔はインタビュー中もとにかく気さくで自然体! バブル期のこと、これからのこと聞いてきました。
風間トオル
1962年神奈川県出身。モデルとしてデビュー後、“しょうゆ顔”のイケメンとして一躍人気モデルに。1989年『ハートに火をつけて!』(フジテレビ)で俳優デビューし、『はみだし刑事情熱系』『科捜研の女』(テレビ朝日)など現在もさまざまな作品で活躍中。
バイト先でスカウトされて
19歳で突然モデルに
「モデルやってみない?」と、19歳のときにバイト先で声をかけられたことが、この業界に入ったきっかけです。小さい頃に親が離婚して、祖父母に育てられたんですけど、高校生の頃には学費も生活費もすべて自分で賄わないといけない状況だったから、ファッション誌なんて読んだこともなかったし、モデルなんていう職業の存在すら知らなかった。
だから最初は、ロケで海まで連れて行ってくれて、しかもタダでごはんを食べられるなんて、モデルっていい仕事だなぁ、って軽い気持ちで始めたんです(笑)。
何もわからないまま現場に入って、ポージングの知識もないから、カメラの前でもただ普通に突っ立っているだけ。当時はキメキメのポーズが主流だったから、「そんなモデルはいないよ!」と言われながらも、逆に素っぽいナチュラルなポージングが新鮮だったみたいで。僕の影響なのかはわかりませんが、その後、雑誌がナチュラルな傾向に変わっていったんですよね(笑)。
徐々に仕事が増えていったんですけど、現場を重ねるたびに先輩方には色々と教えてもらいました。モデルの仕事は、自分を出すというよりも、いかにファッションを素敵に見せられるかが大事。ジャケットの下から見えるシャツの袖が、1㎝よりも5㎜の方がきれいに見えるなとか、常にそういうことを意識しながら撮影に臨むようになりました。
まさにバブル絶頂期の
『メンズノンノ』時代
バブル期は20代でしたが、高級品を買ったり一夜で大金を使ったりとかいう、そんな派手な生活はしてないんですよ。
でも、六本木のディスコには毎晩のように通っていました。そこに行けば、モデル仲間が集まっていましたし、僕の場合はタダで晩ごはんが食べられるから、という理由で(笑)。仕事が終わったら、とりあえずディスコに向かってごはんを食べて。そのまま朝までいることもありましたし、当時はそれが日常だった。
いま振り返ると、やっぱり街全体が盛り上がっていましたよね。でも、バブルはいつまでも続かないだろうし浮かれている場合じゃない、というのは常に思っていました。物心ついたときから身の回りのことは自分でやってきたので、未だに慎重に生活しています(笑)。もちろん、バブルのあの華やかな毎日は楽しかったので、いい記憶として残っていますけどね。
いまだからこそ感じる
バブル期のすごさ
たとえばドラマの現場では、今はロケ弁が基本ですが、バブル時代は、食事は撮影場所の近くのレストラン。しかも高級レストランで、「好きなものを適当にオーダーして食べてください」と。だからバブルが弾けて、現場の食事がお弁当に変わったときは、時代が変わったなぁと感じましたね(笑)。
俳優として活躍
どの作品も宝物
俳優デビューした浅野ゆう子さん主演の『ハートに火をつけて!』はもちろん、その他のどの作品もよいめぐり合わせをいただいて、思いがたくさん詰まっています。
『はみだし刑事情熱系』や『科捜研の女』などのシリーズものでは、ひとつの役を長年演じることができて、役者冥利に尽きますよね。
『科捜研の女』は京都で撮影しているんですけど、この役をいただいてから10年以上になるので、京都は第二の故郷のようなもの。家族同然の共演者やスタッフと現場でご一緒できるのがとても楽しいです。
これからの人生も
無理せずみんなで楽しく
まあ、無理をしすぎず、楽しく生きていけたらいいなと思っています。
もちろん無理をしないといけないときもありますが、無理をしすぎない、ということも最近は大事にしています。歳を重ねることで、たとえば体を鍛えるトレーニング法も変わってきますし、力を入れすぎないからこそ生まれる隙間というか余裕というか。それが楽しむことにつながっているんじゃないかと。
でも、楽しむって、ただ「自分だけが楽しい」では、結局は楽しめないんですよね。友人やスタッフの支えがあってこその自分なので、周りにいるみんなが幸せじゃないと意味がない。周りが幸せなら、おのずと自分も幸せになれるんですよね。これからも1日1日をみんなで共に楽しくやっていきたいですね。
ヘアメイク/岩本郁美
取材・文/門司智子