バブル世代の新たなチャレンジによって誕生!
石垣島・ログハウスとキャンピングトレーラーの宿『ロガシス』
ダイビング好きも多いバブル世代にはお馴染みかもしれない石垣島。その北部、木々に囲まれた野底地区に、2020年秋、ログハウスの宿泊施設『ロガシス』がオープンしました。実はここ、ジャングルを切り開いて整地し、さらに建築までの大部分を、オーナー社長とスタッフの手で作り上げた施設なのです。
オーナーはbjb世代の青山智幸(57)さん。薬剤師から調剤薬局チェーンの経営者となり、自社を売却した資金でかつてダイビングを楽しんでいた石垣島に夫婦で移住、起業しました。そんなバイタリティあふれる青山さんの第2の人生について、そして豊かな自然に囲まれた『ロガシス』について、語っていただきました。
青山智幸(57)さん。神奈川生まれ、現在は石垣島在住。
「ロガシス」「平得椰子園」オーナー。
写真は平得椰子園にて。
石垣島ありきの計画ではなかったけれど
バブル時代のまだ若い頃から数年に一度ダイビング目的で石垣島を訪れていました。30歳で起業し、会社経営の講習会での学びもあって早期リタイアは頭にありましたが、第2の人生を石垣島で、とまでは思っていませんでした。
50歳で自分の会社(調剤薬局チェーン)を売却してセミリタイアした後、時間を持て余すだろうから何か勉強したいと思い、大分大学経済学部の大学院に社会人入学。もう一度、一生懸命に何かをしたいと考えるようになりました。当時やりたいことの一つが農業。また何をするか見えていませんでしたが、起業をしたいという気持ちもありました。そのタイミングで上場会社と資本提携した時、本社の経営企画部にいた現在共同経営者の定森から、「何か新しいことをしませんか」と電話がかかってきたのです。
石垣島では行く度に宿泊先の予約に苦労していたので、施設が足りないのだろうと漠然と思っていました。そのうち「コテージタイプの宿泊施設を作りたい」と考えるようになり、他との差別化のため、全棟独立したログハウスとアメリカ製のキャンピングトレーラーの使用を検討。そして宿泊施設用の土地を探しているとき、島の市街地にも近い、ある素晴らしい農地との出会いがありました。起業と農業を両立できるのが石垣島だと思い、移住を決意しました。
現在、宿泊施設の運営は定森(前出)に任せ、時間の大半は平得にある椰子園の整備に使っています。平得椰子園では沖縄の果物(グアバ、パイン、バナナ、パッションフルーツ)、そして収穫はこれからですが、コーヒーも作っています。
仲間とともに、自分たちの手で作った『ロガシス』
仲間との出会いも私にとって幸運でした。共同経営者で同世代の定森、そしてもう一人、会社の立ち上げをサポートしてくれたパラオのダイビングショップで知り合った30代の若者です。残念ながら彼はこの秋に新たな道へ進みますが。
ログハウス建築のベースは専門の大工さんに頼みましたが、それ以外の外構やキャンピングトレーラーサイトなどは自分たちで工事をしました。ログハウスのオープンまでに1年半かかり、全体のグランドオープンまでには3年半かかりました。
『ロガシス』を作るにあたり自然の残る石垣島北部を選びましたが、その分インフラが整っていませんでした。また原野を購入して造成からスタートしたので、琉球石灰岩の土地を整地するのがまず大変でした。コロナでお客さまが来られない日が続いたため資金の懸念もあり、後半の工事を自分たちの手で行ったのも大変でしたが、反面、楽しかったことでもあります。
お客さまに自然の中でリラックスしてもらいたいというコンセプトのもと、当施設を作りました。歩いて5分ほどで人がほとんどいないプライベートビーチのような美しいビーチがあり、夕陽も見事です。また近くには「野底マーペー」という比較的気軽に行ける山があり、頂上に登ると太平洋と東シナ海が一望できます。当施設前の道路脇には一年中蛍がいて、大群が飛び交う幻想的な日もあります。晴れた夜は満天の星空となり、天の川がとても綺麗です。
『ロガシス』はログハウスとオアシスから名付けました。自然を満喫し、のんびりとお過ごしください」
ロガシスの仲間を紹介します。
(中)定森(55歳)/10年来の友人で、初期ロガシスの立上げスタッフ。バブル真っ盛りに就職し長い苦悶のサラリーマン生活を経て、今や『ロガシスおじさん』としてTikTokで売り出し中。
(右)安里(31歳)/SNSと沖縄観光サービス業に精通した地元(石垣島)の若者。ロガシスの存在意義を見出して実現するため日夜創意工夫に励む『ロガシスのブレイン』。
(左)今年5月から新たに加わった女性スタッフ。
ロガシス石垣野底ヴィラ LOGASIS Ishigaki Nosoko villa
沖縄県石垣市野底698-1
https://www.instagram.com/logasis_ishigaki_nosokovilla/
今年5月、新たに「キャンピングトレーラー」がオープン!
野底の森のおいしいレストランをご紹介
「ロガシス」のある野底は、昔から人が移り住んできた歴史があるそうです。今も本土からやってきた人たちが島暮らしを楽しみ、中にはおいしいレストランを開いている人たちもいます。移住のきっかけや島暮らしのことなどを聞いてみたら、さまざまな人生観に刺激を受けるかもしれませんね。
2022年3月にオープンしたばかり。ヘルシーな南ぬ豚(ぱいぬ豚)や石垣牛、韓国料理も楽しめるBBQレストランです。
また近隣の宿泊施設では、一棟貸しコテージもオススメ。オーナーが隣に住んでいるので何かと安心です。
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海に落ちる夕陽に幻想的な蛍の大群、手が届きそうな星空が広がる野底地区。明け方にはアカショウビンの「キョロロロロー」と鳴く声が、心地よく耳に届きます。多くの経験を積んできた大人にこそ訪ねてほしい、人生を愛でる時間を過ごすのにピッタリの場所です。
取材・文/永田知子
1972年生まれ 福岡県出身の編集・ライター。福岡で旅行情報誌の編集・制作、東京でwebマガジンの編集やサイトプロデュースなどを経てフリーランスに。旅やファッション、うつわ、アート、夢の話が大好物。フラにもはまっています。現在は体のために、ゆるくベジタリアン生活を実践中。