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皇居一般参観に参加して、

皇居の中を歩いてみませんか

260年以上にわたり江戸城だった、東京の中心にある皇居。現在は天皇のお住まいがあり、東京を代表する観光地の一つにもなっています。

この皇居の中を参観できる「皇居一般参観」があるのをご存知ですか?

新緑が美しい5月に、筆者が参加してきました。


皇居一般参観とは?

皇居内の参観コースを、宮内庁職員のガイドとともに歩きながら建物などを見学するものです。

開催日の午前と午後各1回実施され、参観料は無料です。所要時間は約1時間15分。

参加申し込みは「事前申請」「当日受付」があります。

  • 事前申請手続の定員:各回50人(インターネットまたは電話で申請)
  • 当日受付の定員   : 各回70人(先着順に整理券を配布)

皇居一般参観の詳細・申請は、こちらからご確認ください。

皇居一般参観コースをご紹介

皇居一般参観のコース(約2.2km)の内容は以下の通りです。

桔梗門(入門)-窓明館(休所)-富士見櫓下-宮内庁庁舎前-宮殿東庭-正門鉄橋(渡ってから折り返し)-宮殿東庭-山下通り-宮内庁庁舎前-桔梗門(出門)

①桔梗門(ききょうもん)

桔梗門から入門

当日は、皇居桔梗門前で受付をします。私は事前にインターネットで予約をしていたので、予約番号を伝えて受付。参観中に首からさげるカードホルダーを渡されます。

②窓明館(そうめいかん)

休所の窓明館入り口で手荷物検査を受けた後、着席して皇居や参観についての説明を聞きます。
その後、日本語グループ、英語など外国語グループに分かれて出発。
コロナ禍のため日本語グループの人数が多かったですが、コロナ禍以前は外国語グループの人数が圧倒的に多かったそうです。

馬車に遭遇!

③富士見櫓下(ふじみやぐら)

富士見櫓は、江戸城本丸東南隅に位置し、江戸城遺構として残る唯一の三重櫓(さんじゅうやぐら)です。現存する三重櫓は、1657年(明暦3年)の明暦の大火での焼失後、2年後の1659年(万治2年)に再建されたもの。
大火の際、旧江戸城の本丸の建物はほとんど焼失、天守も再建されませんでした。そのため、こちらの櫓は天守の役割を果たしてきた「代用天守の櫓」とも言われます。どの角度から見ても同じような形にみえることから「八方正面の櫓(はっぽうしょうめんのやぐら)」の別名も。
櫓の高さは15.5mほどあり、江戸時代には徳川将軍がこの櫓から、品川の海、両国の花火、遠くは富士山を眺めたと伝えられています。

④宮内庁庁舎前

昭和10年に建てられたものです。昭和20年、戦災によって明治宮殿が焼失した際は、庁舎の一部を仮宮殿としてしばらく使用したこともありました。
昭和34年、当時の皇太子殿下と美智子様がご成婚の際、パレードに向けて馬車が出発したのはこちらの玄関からだそうです。

⑤宮殿東庭

宮殿は、天皇陛下のご公務、ご執務など様々な儀式、行事が行われる建物。
新年及び、天皇誕生日に「一般参賀」が行われるところとしても有名です。
宮殿は、正殿、長和殿(ちょうわでん)、豊明殿(ほうめいでん)など、7つの棟から成り立っています。

こちらの建物は長和殿(ちょうわでん)。全長160m。
年に2回、1月2日の新年と、2月23日の天皇誕生日には正面中央にガラス張りの特別なお立ち台が設置され、当日は両陛下はじめ、皇族がたがここにお立ちになり、国民からの祝賀をお受けになるところです。
ベランダの高さは、約3.4m。テレビで見ていると、もっと高いところにいらっしゃるように感じていたので意外でした。

宮殿の前にある塔は、“松の塔”と呼ばれる、若松の葉をかたどった照明灯。高さは約16m、てっぺんには輪の飾りが。これは、古代女性が身につけたといわれる腕輪やバングルをかたどったもので、釧(くしろ)と呼ばれます。

正殿の屋根の尾根には、緑色の「鳳凰」(ほうおう・中国の伝説の鳥)をかたどったもの2羽が対になって見られます。名前は瑞鳥(ずいちょう)。「良いことが起きる前に現れる鳥」とのこと、参観参加者にも良いことが起きるかもしれません。

宮殿の表玄関と呼ばれる「南車寄(みなみくるまよせ)」です。
主に国賓、公賓、大使、日本の総理大臣をはじめ各大臣も利用する玄関。テレビでも、国賓が来た際には天皇がこちらでお迎えに出られている場面をよく見ます。現在の天皇陛下が御即位の際、この場所からオープンカーのパレードが出発しました。宮殿東庭の収容人数は2万人。
広場の下は、車が約120台駐車できる駐車場になっています

宮殿中門を通って、次は二重橋へ。

⑥正面鉄橋(二重橋)

この橋は、江戸時代に橋桁(はしげた)を二重に組んで、低い橋の上にもう1つ橋をかけたことから、通称“二重橋”と呼ばれます。明治宮殿造営の際に、木の橋から鉄の橋1本にかけかえられたため、正式名称は「正門鉄橋(せいもんてつばし)」。

よくテレビで見られる、メガネの形をした正面石橋(通称・眼鏡橋)とセットで“二重橋”と呼ぶと思っている人も多いそうですが、実は江戸時代の橋のかけ方が由来でそう呼ばれるのですね。

正門鉄橋からの眺めは、皇居前広場や、正面石橋、丸の内のビル群の景色が広がり、参観コースの中でも一番見応えがあります。
丸の内のビル群がキレイに見えるのは「ビルそれぞれに看板がないから」という説明を聞いて納得しました。

正門鉄橋で皇居前広場を背にして立つと、伏見櫓(ふしみやぐら)も見ることができます。
3代将軍家光の頃に京都にあった伏見城を解体して、一部を移築したと言われる櫓。
皇居の中で一番美しい櫓といわれているそうです。

参観コースは、この二重橋を渡り終えたところが折り返し地点となります。

⑦宮殿北車寄前

長和殿の北端にある、北車寄(きたくるまよせ)は、主に国内の賓客(ひんきゃく)が利用する玄関です。年に2回、春と秋に叙勲を受けた人が天皇陛下への拝謁(はいえつ)を終えたあと、ここで集合写真を撮ります。

この玄関の右側には、豊明殿(ほうめいでん)があります。
豊明殿は、広さ280坪と宮殿の中で一番広い部屋です。
主に国賓を迎えての宮中晩餐会や、天皇誕生日に行われる宴会の儀などを行う部屋です。数年前にアメリカのトランプ大統領が訪日した際の宮中晩餐会は豊明殿で行われました。

その横には、昼食会や茶会が行われるお部屋、連翠(れんすい)が見られました。

宮殿にある数々のお部屋の中の様子は、窓明館のパネル写真で見られるそうです。

その後、紅葉山(もみじやま)や蓮池濠(はすいけぼり)の参観を経て、コース終点の桔梗門へ。

桔梗門で解散となりました。

参観を終えて

皇居の中は思っていた以上に見どころがたくさん。
日頃、テレビでしか見たことのない宮殿や玄関、歴史的建造物などを間近で見られたことは貴重な経験でした。鉄橋から望めた丸の内ビル群の眺めも一見の価値があります。

隅々まで手入れがいき届いたお庭は緑豊かで、広々とした皇居の敷地を歩くだけでも爽快な気分を味わえます。

それに加えて、ガイドをしてくださる宮内庁職員のかたの話がとても上手。時に冗談を交えての説明もあり、参加者がドッと笑う場面も何度かありました。
参観ツアーの終わりには、参加者からガイドさんに拍手が起こるほど。温かい気分で参観を終えることができました。

もともと江戸城であった皇居は、東京でも最強のパワースポットと言われています。
真夏には蓮の花が咲き、秋にはお庭の紅葉が見事に色づくそうです。
四季折々違った景色が楽しめる皇居参観に、是非一度参加してみてはいかがでしょうか。

皇居一般参観の詳細・申請は、こちらからご確認ください。

取材・文/Umi(うみ)

フリーライター。月刊美容誌のライターとして連載を6年担当。作編曲家やピアノ奏者という顔も持つ。YouTube「Umiチャンネル」では流行りのJ-pop、昭和ヒットソングのピアノ伴奏カラオケ音源動画を配信。配信した動画は延べ1,100人以上の方(ご連絡をいただいた方だけで)に利用されている。現在「弾き語りピアノレッスン」開始に向けて準備中。

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