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コロナ禍における旅トレンドは
「近場で、夫婦で、お宿でのんびり」

若い頃、国内外の旅を満喫していたバブル世代。コロナ禍になり、みなさん旅行はどうしているのでしょうか?大人しくステイホーム?それとも変わらず出かけている??ちょっと気になりますよね。
そこで、コロナ禍での旅事情や、withコロナにおける今後の旅のスタイルについて、旅のプロに聞いてみました。

お話を伺ったのは…
森戸香奈子さん

(株)リクルートにて観光に関する調査・研究などを行う地域振興機関「じゃらんリサーチセンター」主席研究員

2021年7月に発表した2020年度の国内旅行動向を示す『じゃらん宿泊旅行調査2021』の結果をもとに、お話していただきました。


コロナ禍での旅の傾向は?

「コロナ以前の2019度年に比べ、2020年度における国内旅行の実施率は、大幅に減少しました。とはいえ、コロナ禍においても旅好きの方は旅行されています。感染状況により、臨機応変に対応されている様子。みなさん、withコロナの中でリスクを避け、密を回避しての旅という、新たなスタイルを身につけているのかもしれませんね」と森戸さんは分析します。

「2020年度での宿泊旅行の目的は、『宿でのんびり』『温泉や露天風呂』『地元のおいしいものを食べる』の3つが、コロナ前よりかなり強くなっています。コロナ禍の状況が、それをより後押ししている印象もあります。密を避け、なるべく外を出歩かず、宿にこもって過ごす、そんな旅が求められているようです。

旅行先は遠方ではなく、居住地やその近隣エリア、つまり近場で、なるべく移動時間が短い、いつでも家に帰れる距離の場所を選ぶ傾向にあります。近場の旅は、地元の良さを再発見するきっかけにもなっているのではないでしょうか」。

旅のスタイルに変化はあったんでしょうか?

「誰と行くかについても多少、変化は見受けられます。実はコロナの数年前から、旅の同行者の数が減ってきているのです。3~5人のグループ旅よりも1~2人、特に『夫婦ふたり旅』が多くなっています。コロナ禍で好まれるようになった『宿でおこもり』スタイルも、他人同士ではなく夫婦やパートナーと行く方が増えていますが、この傾向もコロナによって後押しされている感じがします」。

夫婦ふたり旅に続いて増加しているという「ひとり旅」ついても、森戸さんに伺いました。

「『ひとり旅』に関しては、もともと20~30代の独身男性が多かったのですが、自由に行動できる、同行者に合わせなくていい、ということからここ5年ほど、女性やシニア層のニーズが高まっています。また、それに応えるプランを用意する宿も多くなっています。」

一方、友達同士の旅のスタイルにも変化があるようです。

「例えば女性3人旅で、ビジネスホテルでシングルルームを3部屋とって、日中は共に楽しみ、夕食後は“じゃあ、また明日” と各部屋に帰る。そんなグループ旅行を楽しむ方々も少なくないようです」。

コロナの感染リスクを少しでも減らすという目的とはまた別に、寝る間も惜しんでお喋りをしたかった20代とは違い、自らのライフスタイルが確立されているルージュ世代は、夜の時間の過ごし方、床に就く時間もそれぞれ。いくら仲の良い友達同士でも気疲れする旅は避けたい。そういう理由もあって、寝る部屋は別にする旅スタイル、また、見栄も恥もいらぬ夫婦ふたり旅が増えているのかもしれません。

旅行客を受け入れる宿の現状やコロナ対策は?

「食事を客室で提供する、食事会場の席数を減らしてソーシャルディスタンスを確保、バイキング料理には使い捨ての手袋を用意する、料理は小皿に分け飛沫防止のラップをかけるなど、様々な対策をとっています。
温泉付きのビジネスホテルでは、浴場の混み具合を各部屋のTVで案内するところもあるそうです。
また、スタッフとの接触を避ける目的も兼ね、先に布団を敷いておき、朝も片付けずにそのまま、という宿も増えています。利用者の中には『チェックイン後は部屋に入ってほしくない』『おこもりに集中したい』と、支持する方も増えていて、このスタイルを取り入れる宿も増えています。」

なるほど。
コロナ禍において、旅をする方も受け入れる宿も臨機応変に対応しているんですね。

withコロナの今後の旅スタイルは?

コロナ禍の今、旅のキーワードは「近場」「夫婦ふたり旅」「ひとり旅」「宿(できれば温泉や露天風呂がある)でのんびり」 のようです。

(株)リクルートでは、旅行情報誌『じゃらん』ほか、40~ 60代、まさにルージュ世代に向けたムック『大人のちょっと贅沢な旅』発行しています。

密を避けられる隠れ家、離れ、一棟貸し、露天風呂付きの部屋、さらに部屋から出なくても楽しめる宿の特集記事のほか、日帰りを含めたお出かけ先の紹介、さらにひとり旅情報など、まさにコロナ禍を意識した企画も盛り込まれているそうです。

宿泊施設や移動手段を予約できる『じゃらんnet』では、「食事は品数よりも質重視」といったシニア層のニーズに対応するなど、多彩なプランが紹介されています。またGo Toトラベルなど国や自治体が行う特典も自動的に反映されているので、自分で手続きをする手間も不要。手軽にお得な旅情報を手に入れることができておすすめです。

じゃらんnet

「一般的に、きちんとマナーやルールを守り、周りに迷惑をかけない、お互いに心地よく過ごすための意識がとても高い人が多いと思います。周りへの配慮をしながら今まで同様、旅を楽しんでいただきたいですね」。

取材・文/山田誠

1968年新潟県出身。20代は東京、30代からは福岡にて国内外の旅行を紹介する情報誌の編集、制作を経て、2003年よりフリーランスに。暮らしやお出かけに関するお仕事が多い中、その取材先で、いただく原稿料以上に物販を購入してしまうことも多々。バブル時代の物欲、いまだ収まらず。

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