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ぜひ今観て欲しい!バブル期に流行った邦画&新作紹介

ルージュ世代が青春時代を過ごした1980〜90年代には、数えきれないほどの大ヒット映画作品が生まれました。
その懐かしい映画を振り返るべく毎回テーマを決めて、映画会社東宝東和(株)の三樹祐太さんに熱く語っていただきます!

今回のテーマは「バブル期に流行った、バブルを象徴する映画3選(邦画編)」。 タイトルを見ただけであの頃が懐かしくよみがえる作品ばかりですよ!

「私をスキーに連れてって」

(1987年)

「 私スキ」と呼ばれていたこの映画は、まさに私がスキーにはまるきっかけの作品。スキーに行く前に、友人たちと一緒に必ずこの映画を観てから出発。映画の中の“深夜に車で出発する”という設定が同じというだけで、より気分が盛り上がりました。レンタルやテレビ放映も含めて10回以上観たほど大好きな映画です。

まさにバブル期に多く作られたトレンディドラマの先駆け的な映画。スキーを題材にした、こんなお洒落な邦画はそれまで皆無でした。
今、観るとかなりダサいとは思いますが、当時は映画の中に出てくるものすべてがお洒落でかっこよくて、白いスキーウェアに憧れる人が続出。携帯電話がなかった当時、映画の中に出てきた無線機も斬新なアイテムで、自分達もスキーに行く時に映画の真似をして車同士をつなぐFM無線を使ったほどでした。
この映画が、1990年代のスキーブームを起こしたことは間違いないでしょう。

また、この映画の魅力を語る上で外せないのがユーミンの名曲の数々。
大事なシーンに絶妙なタイミングで曲が流れて、その場面をグッと盛り上げます。この映画によって挿入歌『恋人がサンタクロース』が、主題歌『サーフ天国、スキー天国』をしのいで大ヒット曲になりました。 この曲、世間一般ではクリスマスの曲ですが、ルージュ世代にとっては“私スキの曲”ですよね(笑)。

出演の俳優陣、三上博、原田知世、高橋ひとみ、布施博…の皆さんは、その後テレビなどで大活躍するわけですが、ルージュ世代の皆さんが観たら「みんな、若い!」と思うでしょう。今は渋みのあるベテラン俳優・竹中直人の悪役ぶりも観られますし、主役の原田知世も初々しい。

まさにバブル期のきらびやかさを描いた「私スキ」を再びご覧いただき、青春時代を懐かしく思い出すのはいかがでしょうか。

「マルサの女」

(1987年)

当時は、いわゆる「お仕事もの」「業界もの」を描いた映画がほとんどありませんでした。
そんな中「国税局の査察」という、一般の人がなかなか知り得ない仕事の内幕を初めて映画で描いたこの作品は、どの世代が観ても新鮮でした。

国税局査察部を通称マルサ(○査)と呼ぶことも初めて知る人が多く、マルサの仕事ぶりと脱税する側の攻防戦を見事に、時にコミカルに面白おかしく描いています。1987年公開映画の洋・邦画含めた興業収入トップ10に入るほどの大ヒットにつながったのも納得です。

伊丹十三監督は、いわゆる「お仕事もの」の映画を作るのに長けた映画監督でした。 宮本信子達が演じるマルサ捜査員の巧妙に脱税を暴いていく仕事ぶり、また山崎努達が演じる脱税する側のあの手この手の工作ぶり、お互いの心理戦が巧みに描かれています。原作がないにも関わらず、あれだけ緻密に描くことができたのは、監督の膨大な取材と脚本の力だと言えます。

また、キャラクター作りも秀逸。宮本信子扮する「板倉亮子」は、仕事はしっかりするものの、情に厚く、そばかすたっぷりでどこかコミカルな雰囲気のキャラクター。だからこそ、あまりシリアスな雰囲気にならずにマルサの仕事ぶりを描くことができたのだと、伊丹監督の演出にも感心します。

配役は、津川雅彦をはじめ、誰もが知る大御所俳優ばかり。宮本信子もこの作品でメジャーな女優の仲間入りを果たしました。 若すぎて一瞬誰かわからない出演者も多く、そこも楽しめるところではないでしょうか。

公開時、ルージュ世代の皆さんも学生や社会人になりたてで、それほど税金に詳しくなかったかもしれません。でも約30年の社会経験を経てまた違う視点で面白く観ることができることでしょう。

「AKIRA」

(1988年)

この映画の監督・大友克洋は漫画家で、ヤングマガジンで連載中だった同名の人気漫画を映画化、大ヒットしました。この漫画は、大友監督が1982年公開の近未来SF映画の傑作「ブレードランナー」などの影響を受けて、近未来都市と超能力を題材にして描いたSF作品です。漫画単行本がB5版の大判サイズだったのも珍しかったですね。

連載がまだ途中だったにも関わらず、映画化が決定し、制作期間3年間は連載もストップ。漫画と映画の結末が違ったこともファンに驚きを与えました。

漫画原作者が監督まで務めるのは稀有なこと。それだけ大友監督がこだわりにこだわって作った映画ということもあり、アニメ映画としては異例の10億円という巨額な制作費がつぎ込まれ(まさにバブル期ならでは!)日本の超一流のアニメスタッフを総動員して制作された、日本アニメ史に残る傑作です。

なぜそれだけの制作費がかかったか。それは、自身の漫画におけるリアルタッチの画風を再現するために、なめらかな動きや、背景の緻密さにこだわったから。こだわればこだわるだけ、描くセルの枚数も当然増えます。
だからこそ、当時観た時は、まるで未来の新しい暴走族を見ているようで、すべてがカッコ良かった。今観ても、登場するメカがどれも古臭くありません。最近でもバイクの展示会などでオマージュされているほどなんですよ。

舞台設定は2019年。1982年の連載開始当時から、30年後を想像して描かれていますが、近未来的な高層ビル群と1970年以前の日本の昭和的な風景が混ざり合う独特な世界観で、インパクトの強い映像でした。
最近では、「2020年のオリンピック中止と延期の予言をしていた?」と話題にもなりました。ストーリーもうまくできていて、2019年を過ぎた今観てもハッとします。

このアニメ映画は、日本だけでなく世界でも大きく評価され、ハリウッドで実写化することが決定。カリフォルニアで実際に撮影も行われ、2021年の全米公開日まで決定したのに、同年7月に無期限保留が発表されました。
近いうちに公開されることを期待します。

ルージュ世代におすすめ! 新作映画紹介

「トップガン マーヴェリック」

(2022年5/27公開)

1986年のトム・クルーズ出演「トップガン」大ヒットから、36年という時を経て作られた続編。当初、2019年7月に公開予定だったのが、コロナの影響で何度も延期。待ちに待っていた方も多いと思いますが、ついに公開に!
4年ぶりとなるトム・クルーズの来日も実現して、ファンへの神対応も話題となりました。
前作をご覧のルージュ世代のみなさんにとっては、前作からすべてがアップデートされていて胸熱なシーンばかり。トム・クルーズは教官役でカムバック、と設定は変わっていても、引き継がれたトップガン魂はそのまま。トム・クルーズをはじめ俳優陣全員が実際に戦闘機に乗って飛行訓練を受けてから撮影に臨んでおり、スタントマンも使わずにすべての戦闘機シーンを演技・撮影しているので、よりリアルに体感できます。手に汗を握るハラハラするシーンも満載。1作目をご覧になった方にとって、完璧な続編といえるこの作品を、是非とも大スクリーンでご覧ください!

「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」

(2022年7/29公開)

「ジュラシック・パーク」シリーズ3作、「ジュラシック・ワールド」シリーズ3作、合計6作の完結編となる作品。
「ジュラシック・パーク」1作目に登場のアラン・グラント博士、エリー・サトラー博士、イアン・マルコム博士の3名が29年ぶりに揃うだけでも、ルージュ世代のみなさんにはワクワクしていただけると思います。その3名が「ジュラシック・ワールド」の主要メンバーと出会ってストーリーが展開していきます。
前作の「ジュラシック・ワールド」では恐竜たちが島から逃げ出して終わりました。 今作は、最初から街中に恐竜がいる設定。人間と恐竜がどのように共存していくのか…想像を超える展開に、大人も子どもも楽しめる完結編です。ぜひスクリーンで懐かしい面々との出会いを楽しみに、ご覧いただきたいです。

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