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退職後、東京と田舎の2拠点暮らしを楽しむ方法

仕事をリタイアした後のライフスタイルには、いくつもの選択肢があります。今回は、早期退職した後、東京と田舎の2拠点生活を楽しんでいる山中勝文さん(63歳)にお話を伺いました。

5年前から田舎生活を考え始める

山中さんは東京都練馬区在住、社会人の息子さんは独立して、現在は奥さんと2人暮らしです。

新卒で大手電子機器メーカーに就職、58歳の時に早期退職しました。 あと1年と少しで年金を満額受給予定です。

もともと家庭菜園が大好きで、自宅でも野菜栽培をしてきました。
5年前ほどから「自然の中で暮らしたい」と強く思うようになり、情報集めを開始。

別荘購入も選択肢の一つと考え、いくつかの分譲地に足を運んだり、実際に長野県の蓼科にある貸別荘に2カ月住んでみたりしたこともありました。
「そこで何をするか」を考えた時に、ただのんびりするだけでは物足りなさを感じ、畑をいじることができる場所が良いと思うようになりました。

そんな田舎暮らしに向けた準備も、コロナ禍でストップします。

ふたたび動き出すきっかけとなったのは、2021年2月に練馬区報で長野県上田市の「クラインガルテン」の募集案内を見たことでした。慌てて現地見学をお願いしたそうです。

「クラインガルテン」を選択

クラインガルテンとは、ドイツ語で「小さな庭」という意味で、ドイツで盛んな200年の歴史をもつ農地の賃借制度のことです。日本では主に「市民農園」や「滞在型市民農園」を意味します。
クラインガルテンの敷地内には、家屋と農園があり、家庭菜園を営むことができます。

山中さんが上田市のクラインガルテンに実際に足を運んで、圧倒されたのが眺望の素晴らしさ。
上田盆地や北アルプスを一望できる景色は想像以上のもので、一目で「ここにしよう!」と決めたそうです。
山中さんが条件としていた「関越自動車道で行ける場所」もクリアしていました。

敷地に9区画あるところ、応募数は約40組。
応募する際は「住んだら何をしたいか」など志望動機を書く欄があったそうです。
自分の思いを書いて応募しました。
結果、約4倍という倍率の中、山中さんは見事当選!
宿泊棟の広さはロフトつきワンルームで29㎡、畑の面積は約100㎡。
契約期間は最大3年、年間の使用料は56万円です。

ついに山中さんの2拠点生活は始まりました。

今後も2拠点生活を続ける予定

現在は平日に2~3泊で、月に2~3回行くのが定番のペース。
マイカーで行くこともあれば、時に新幹線を利用、現地でレンタカーを借りることもあります。新幹線に乗ると旅行気分を味わえ、また雪の時期に運転の心配をする必要もないからです。

去年は、畑でかぼちゃ、落花生、ショウガ、玉ねぎ、スイカなど多くの野菜を育てました。

山中さんは家庭菜園の経験者でしたが、未経験者でも地元の農家が個別に指導してくれるそうなので安心ですね。

9棟の利用者は、東京都から6組、埼玉県から3組。
皆さん畑仕事に関心があるからか、気の合う人たちばかりで、一緒にバーベキューをしたり、畑で採れた野菜をお互いに譲りあったり、良い人間関係も生まれています。

現地に管理人さんがいるので、行けない時期は水やりをお願いすることもできて安心できます。

3年の契約が終わった後は「上田市の地域とのつながりもできたので、また上田市近辺を第一候補で似た物件を探したい」とのこと。
ただ、山中さんは2拠点生活スタイルの継続を決めています。理由は「今まで続けてきた趣味を諦めたくないから」。

山中さんの趣味はサックスを吹くことと弓を引くこと。長年、都内の社会人ビッグバンドに参加、弓道場にも楽しく通っています。それを諦めてまで完全に移住する気持ちはないといいます。

東京では趣味を楽しみ、上田市では自然の中での生活を享受するという2拠点生活を始めて、もうすぐ1年が過ぎようとしています。
クラインガルテンに行き、北アルプスの山々を見るたびに「良いところだなぁ」と幸せ感に満たされ、心が穏やかになるのを実感するとか。

今年は、去年植えたアスパラガスの収穫時期を迎えること、また去年中止になった地元の人たちとの交流を目的とした蕎麦打ち体験、竹食器作り、地元ワイナリーによる試飲会などのイベント開催も予定されていて「今からとてもワクワクしています」と笑顔いっぱいの山中さんでした。

取材・文/Umi(うみ)

フリーライター。月刊美容誌のライターとして連載を6年担当。作編曲家やピアノ奏者という顔も持つ。YouTube「Umiチャンネル」では流行りのJ-pop、昭和ヒットソングのピアノ伴奏カラオケ音源動画を配信。配信した動画は延べ1,100人以上の方(ご連絡をいただいた方だけで)に利用されている。現在「弾き語りピアノレッスン」開始に向けて準備中。

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