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ルージュ世代の夫婦の距離

退職した夫とどっぷり向き合うことになったある妻の声

寝床を分けてみてわかったこと

「数十年連れ添ったご夫婦の皆さんは、同じ布団(もしくは同じ部屋)で寝ていますか?」(もちろん、随分前から別々!という方も多いかもしれませんが…)。
ふと、そんな疑問が生じたのは、とあるテレビ番組で離婚間近かと思われている女性が「離婚はかなり煩雑な作業が多く、別居状態を数年続けているけれど、最近は逆に仲が良くなってきたんですよ」と話しているのを耳にしたことからです。
私の場合は長年ダブルサイズの布団で一緒に寝ていましたが、コロナ禍になり、もし片方が感染したら…ということを考えて別々に寝ることにしてみました。
最初は別々に寝ることに抵抗があった夫も「別々も快適だね。好きな時間に好きなラジオ聴いたり、本を読んだりしながら眠れるから」と言い出しました。
私は夜遅くまでドラマなどを見るので大歓迎。
今まで、お互い自然と我慢することが身についていたようで、ひとり寝は、考えていた以上に快適です。
同世代の友人の中にも「最近、旦那が先にコロナ感染者になったので別々に寝るようにしたら、これが良かった。旦那の必需品の加湿器の音って、けっこう耳障りだったのよ」と話してくれました。
5人暮らしだった我が家が夫婦2人になった今、空き部屋を利用して別々に寝ることで大きな発見がありました。

昼間は夫の外出先があるかどうか

では昼間はどうでしょう。
夫が退職して家にいる時間が長くなると「居間を独占される」「友人を気軽に連れて来られない」「私にはご近所に散歩仲間がいるけれど、夫には私以外話す相手もいないようだ」などなど、女性同士で話していると不満が際限なく出てきます。
「夫が昼間出かける場所を作ってほしい」願うのも、妻たちの本音です。
身体が動く限りは働く、というタイプの夫が望ましいのかもしれませんが、長年働いてきた夫に無理強いはできません。
周囲を見ていると、男性は、朝から近くの健康ランド的な風呂に行く、囲碁将棋、麻雀に行く、スポーツジムに行く、が定番のようでしたが、これがコロナ禍で減少しています。
そんな中でも女性は友達とランチに行ったり、散歩したり、と外出する機会が多いようで、昼間の夫の居場所問題はやはり大きな課題です。

旅行は夫婦では行くもんじゃない!?

今はまだ旅行どころではないのですが、以前の旅行体験について周囲の友人たちに聞くと「夫婦で旅行に行くとたいてい途中で一度は喧嘩する」という答えが多いです。
「旦那はショッピングに行きたがらない」「クルーズの旅に出てもふだんの暮らしのリズムをかたくなに守り、夜9時には寝るので面白くない」「行きたい場所が違うので喧嘩するけれど、妻は一人では行けないので仕方なく夫婦でいく(夫の言い分)」といった声を聞きます。
もちろん仲良し夫婦もいますが、旅行は友人同士か、女性の場合は、夫ではなく娘といくのがいい、という人が多いようです。
我が夫も「旅行は友だちと行く方がいいかも」という意見に達しています。とはいえ、男同士で旅行に行くってあまり聞かないですし、我が家の場合、夫はそんなに旅行好きではないので、私ばかりが旅行に行くというちょっとアンバランスな状況。ちょっと気がひけます。

同じ趣味を少し持ちながら
別々の時間もエンジョイする

趣味についても夫婦の距離感というものを考えてしまいます。同じ趣味を楽しむのもいいけれど、趣味の時間くらいは別々に過ごす方がいいのも事実。
妻と夫、このふたつの円が重なる必要はないけれど、程よく共通部分(例えば、同じ野球チームの応援、孫の世話、美味しいものを食べに行くなど)もあり、
違う部分(落語や釣り、ドラマや映画鑑賞、各々が一人でも一杯飲んだり食べたりできる行きつけの立ち寄りスポットがある、など)を持っていることが大事なのではないでしょうか。

お互いにどっぷり家にいる夫婦として過ごし始めて1年程度ですが、同じ空間の中で、適度な距離を保ちながら過ごせるのはお互いにとっていいな、と思う今日この頃です。
ベテランルージュ世代の友人からは「まだまだよ」と言われていますが…。
人生100年時代となると、まだあと数十年を夫婦でどうやって生きていくか…なかなか課題は解決しないですが、お互いが快適に暮らしていけるよう、細かく話し合って改善していくしかないですね。

文/ノン鳥越​

1954年福岡生まれ。小6より結婚するまで東京で過ごし、大学卒業後出版社に就職するも、転勤族の夫と共に、宮城、山形、鹿児島、岡山など、全国を転々。福岡に戻り、フリーライターになって26年。現在は週1で1人暮らしの92歳の母宅と、双子を含む3人の子育てをする娘宅を訪問するのがルーティン。

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