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バブル期に流行った映画を
いま再び観てみよう!

ルージュ世代が青春時代を過ごした1980〜90年時代には、数え切れないほどの大ヒット映画作品が生まれました。
その懐かしい映画を振り返るべく毎回テーマを決めて、映画会社東宝東和(株)の三樹祐太さんに熱く語っていただきます!

今回のテーマは「バブル期の社会事情・恋愛・流行などが顕著に出ていて、今再び観たら懐かしい!と思える映画」です。
タイトルを見ただけで懐かしい!観た観た!となること、請け合いです。

「トップガン」

(1986年)

引用:パラマウント・ピクチャーズ(日本版)

ルージュ世代の方ならば、海軍の戦闘機パイロット達の物語を描いたトム・クルーズの出世作であるこの作品のことは当然、ご存知だろうと思います。

それまで海軍のパイロット生活をここまでスタイリッシュにカッコよく描く作品はありませんでした。製作にはアメリカの海軍が全面協力しているだけあって、戦闘機の撮影などもリアルそのものなんですよね。

実は、あの当時はまだそこまでトム・クルーズはメジャーな存在ではありませんでした。
しかし、この作品の大ヒットにより一躍スターになり、現在の「大スター、トム・クルーズ」に繋がった彼の出世作、と言っても過言ではありません。
ファッション良し、サントラ(BGM)良し…と本当にすべてがカッコよかったからこそ、相乗効果で大ヒットに繋がった作品です。サントラも音楽史上"最も売れたサントラアルバム"のひとつと言われています。

この作品の公開により日本でも、フライトジャケットの「MA-1」が大流行したことやレイバンのサングラス、カワサキのバイク「GPZ900Rニンジャ」といった劇中登場のアイテムまでが注目されて、まさに当時の日本の文化にまで大きな影響を与え、一大ブームをつくった作品でしたね。

ついついトム・クルーズの話ばかりしてしまいますが、本作をよく見るとまだ売れる前のティム・ロビンスやメグ・ライアンにも会えます。

これだけの人気作品なのに続編が作られなかったのはとても珍しいこと。
実はこの作品を非常に気に入ったトム・クルーズが、続編の誕生により本作の価値が下がることを嫌って、みずから続編製作権を買い取ってしまったと言われています。
要はトム・クルーズが首を縦に振らないと続編ができない、という状況だったわけですが、なんと本作大ヒットから36年ぶりとなる2022年、ついに続編「トップガン マーヴェリック」が5/27に公開!(当初2019年7月12日公開予定でしたが、コロナの影響で数度延期)
コロナがなければ、トム・クルーズは日本にも足を運んでインタビューに答えてくれたのではないか、と想像すると残念でなりません。

今回は、教官としてカムバックするという設定。本作に出ていたライバル「アイスマン役」のヴァル・キルマーも登場するそうですよ。
36年ぶりの続編公開に向けて高まる期待とともに、復習もかねてぜひ、フレッシュなトム・クルーズに会える本作を改めてご覧いただきたいです!

「ジュラシック・パーク」

(1993年)

いまだに子どもを中心とした恐竜人気は衰えていませんが、本作品はそんな子どもも心躍らせる、「もし恐竜が現代に生きていたら…」という想像を、当時最新のCGやVFX技術で説得力を持たせつつ見事に実写映像化した、映画史上忘れてはならない作品です。

この映画、何よりも特筆すべき点は、CGによる恐竜の描写の素晴らしさです。
実は、この作品以前にももちろんCGなどを使った恐竜映画は存在しますが、コマ撮りで動きがカクカクする、なめらかさがない、など作りもの感満載な描写が大半で、リアルな生物感は全くありませんでした。

ところが、スティーブン・スピルバーグ監督が手がけたこの映画は、それまでの映画における恐竜描写を一新させました。
野生味溢れ、まさに太古から蘇ったかのようなリアルな恐竜を映像化させることに成功!

本作は映像革命を起こした作品であり、CG幕開けの映画と言われます。後のCG作品にどれだけ影響を与えたかは言うまでもありません。

この映画のもうひとつ凄いところが、<体験型>エンターテイメント映画の始まりであること。
映画を見るというよりは、まさにジュラシック・パークを“体験”するというつもりで、当時僕も映画館に足を運びました。
劇中の登場人物同様に、スクリーンで初めて見る恐竜たちには新鮮な驚きがありました。また、何か巨大なものが身近に迫ってくることを間接的に描写した有名なシーン、“グラスの水に振動で波紋が立つ”は、劇場の音響の迫力もあって、ズシン、ズシンという足音の緊張感が半端なかったことを覚えています。まさにテーマパークさながらの臨場感!これが後にUSJのアトラクションになります。
余談ですが、続編「ジュラシック・ワールド」(2015年)が、映画館での4Dの座席(席が揺れる、匂いがする、水しぶきが飛んでくる)が一番売れた作品と記憶しています。

ちなみに、「ジュラシック・パーク」シリーズは2001年までに3作目まで製作され、その後14年後の2015年になって「ジュラシック・ワールド」シリーズとして再起動して大ヒット。その後2018年に「ジュラシック・ワールド/炎の王国」が、そして今年2022年の夏にシリーズ完結編となる「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」が公開されることになっています。

実は、本作「ジュラシック・パーク」での主要登場人物であるアラン・グラント博士、エリー・サトラー博士、イアン・マルコム博士の3名、その後の旧シリーズでは撮影のスケジュールが合わなかったのか(?)3名全員が顔を合わせることはありませんでした。再起動した「ジュラシック・ワールド」シリーズにおいては、メンバーも一新され、この3名は出ていません。
しかし!なんと最新作「ドミニオン」において、ついに!といいますか、ようやく3名の顔合わせが29年振りに実現するんです!!!
さらにこの3名が「ジュラシック・ワールド」の主要メンバーとも出会う、という、かなり胸アツな展開になります。想像するだけでもワクワクするのは僕だけではないと思うのですが…。

まさしく6作品の集大成である「ドミニオン」をより楽しく見るためにも、ぜひ今こそ「ジュラシック・パーク」をあらためて観ておいていただきたいです。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

(1985年)

僕、この映画、いまだに大好きなんです。間違いなく、誰もが楽しめるSF映画、そしてエンターテインメント映画の名作でしょう。

何がみんなを惹きつけるのか。この作品以前からもタイムトラベル、タイムスリップものの作品は存在していましたが、どちらかというと、ヘンテコな乗り物に乗ってタイムスリップする、みたいなものが多かった。ところが本作では誰にとっても身近な存在の自動車(デロリアン、米車)がタイムマシーンとして登場、そして、時速約140キロになると時空を飛ぶ、という2つのアイデアが良い意味で予想を裏切る発想で、多くの人々に受けたのだと思います。その後のタイムトラベルものへの影響を含めて、エポックメイキングな作品であることは間違いありません。

そして楽しい小ネタや伏線が数多く散りばめられているのも見どころのひとつ。
僕が好きな小ネタをひとつ挙げると、1955年のパーティーシーンで、主役が「オールディーズを演奏します」といいながら『ジョニー・B・グッド』のギターを演奏している舞台裏で、バンドメンバーがチャック・ベリーに電話して聞かせる、というシーン。ウィットに富んでいて面白い小ネタだと思います。

本作は、ギャグもわかりやすくて品が良くて誰が見てもドッと一緒に笑えるネタが多いし、みんながワクワクハラハラできて、エンターテインメント映画としても、まさにバランスの良いお手本のような作品です。

今DVDなどで見ると「to be continued」とエンディングに入っているのは、後から付け加えられたものだ、など様々な噂はありますが、当初は特に続編製作の構想はなかったそうです。しかし本作が大ヒットしたことを受けて、その後PART2、PART3まで製作されました。PART2とPART3は同時期に撮影されたため、PART2の最後にはPART3の紹介映像まで出てきます。
ヒット作の2作目、3作目となると尻つぼみになっていくケースも時々あるのですが、本作の続編に関しては決して駄作にはならず、またまた素晴らしい出来になっているので、結局このシリーズ3作品全てに魅力があって、全部を見たくなるんです。
劇中での時代設定は1985年で(すでに37年前!)2作目では30年後の2015年にタイムスリップしますが、その年も私たちにとっては過去となり、1980年代には30年後がこう予想されていたんだ、と思いながら見ると凄く不思議な感覚にもなります。
その中で描かれていた未来技術(ホバーボードや、自動調節機能つきスニーカー、テレビ電話など)は、既に現実になっていたりしますからね。
ルージュ世代の皆さんには、そんなところも楽しんでいただける作品だと思います。

最後に、多くの人に愛された主演俳優マイケル・J・フォックスの近況について少し書きます。
現在60歳の彼は、30歳の時にパーキンソン病を発症。1998年に公表し、パーキンソン病の研究助成活動のための財団を設立、また自らの生い立ちやパーキンソン病との格闘を綴った自伝もベストセラーになりました。(売上は全て同財団に寄付)
7年前の2015年に行われた「2作目で描かれた2015年がいよいよ来る」というバック・トゥ・ザ・フューチャーの企画イベントに顔を出していました。
運動機能障害のある役などで俳優としてドラマに出ていた時期もありますが、2020年には完全に俳優引退声明を表明しました。

マイケルの少年のような笑顔は、映画の中と私たちの心の中では永遠ですね!
ぜひとも改めて懐かしくご覧いただきたいです。

ルージュ世代におすすめ! 新作映画紹介

「シラノ」

(2022年2/25公開)

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

エドモン・ロスタンが生み出した“永遠の愛に殉ずる男”を描く不朽の名作戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」。「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライト監督が、エリカ・シュミット翻案・演出した舞台版の設定を引き継ぎ、ロマンティック・ミュージカルとして映画化しました。従来の“シラノの鼻が並外れて大きい”という彼のコンプレックスの設定を、今回は変更。シラノ(ピーター・ディンクレイジ)はロクサーヌ(ヘイリー・ベネット)への一途な愛をどのように貫くのか、またクリスチャン(ケルヴィン・ハリソン・Jr)との三角関係の行方がどうなるか、乞うご期待です。
ルージュ世代の方は「シラノ」といえば、もしかしたらフランス映画史に残る巨額の製作費で映像化された、ジェラール・ドパルデュー主演の映画「シラノ・ド・ベルジュラック」(1990年)を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。一味違った本作もぜひお楽しみいただきたいと思います。またルージュ世代には、ミュージカルファンも多くいらっしゃると思いますが、そういう方々にもおすすめの作品です。

「SING/

シング:

ネクストステージ」

(2022年3/18公開)

©2021 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.

2018年公開の大ヒット作「SING/シング」の待望の続編。オリジナル版でもマシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エジャトン、トリー・ケリーら豪華キャストが声優を務めていますが、ここでは蔦谷好位置さんが音楽プロデューサーを、三間雅文さん(アニメ「進撃の巨人」シリーズなどの音響監督)がセリフ収録を担当して、豪華タッグを組んで制作し好評を博した<日本語吹替版>をおススメしたいと思います。
前作から続投の内村光良さん、MISIAさん、長澤まさみさん、大橋卓弥さん(スキマスイッチ)、斎藤司さん(トレンディエンジェル)、坂本真綾さんのお馴染みのメンバーに加えて、今回の続編では新キャラとしてオリジナル版でホールジーが演じているオオカミのポーシャをアイナ・ジ・エンドさん、ファレル・ウィリアムスが演じているゾウのアルフォンゾをジェシーさんが担当。
ぜひとも日本語吹替版にて、ルージュ世代にもファンを多く持つ歌い手の方々の歌声の凄さを“体感”してください!
ちなみに、U2のボノが声を演じている大物ロッカーのライオン・クレイの声の日本版キャストは、なんとB’z稲葉浩志さんに決定。声優初挑戦とのことで、こちらも注目して頂きたいです。

三樹祐太さん

1971年生まれ。青山学院大学卒業後、1993年に東宝東和株式会社入社。営業部、東宝の劇場への出向、宣伝部勤務などを経て、2007年ユニバーサル作品の取り扱い開始に伴い、現在まで主に字幕版&吹替版の制作を担当。さらに近年はユニバーサル作品繋がりで他社(主にパルコ)配給のユニバーサル作品、そして東和ピクチャーズ配給のパラマウント作品の制作も兼務。

取材・まとめ/Umi

#趣味 #映画 #バブル期 #バブル期の思い出 #バブル期を語る

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