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ルージュ世代にぜひ見て欲しい! 初心者におすすめの韓国映画

コロナ禍で韓国ドラマにハマった人も多いようですが、韓国映画はどうでしょうか?
2020年に第92回アカデミー作品賞などを受賞した「パラサイト」(2019年 ポン・ジュノ監督)をご覧になった方も多いかもしれません。社会性と娯楽性を兼ね備えた本作は素晴らしい作品に間違いありません。
ただ、一部に刺激が強すぎて…という声も。これで韓国映画に距離をもってしまうのはもったいない。韓国映画初心者にこそ見てほしい色あせない映画、気楽に楽しめる映画をご紹介します。

八月のクリスマス

(1998年 ホ・ジノ監督)

ソウルで写真館を経営する青年と交通警官との切ない恋を描いた物語。難病で余命わずかのジョンウォン(ハン・ソッキュ)は家族と共に、笑顔を絶やさず余命を静かに生きようとしていました。ある日駐車違反の取り締まりをしていたタリム(シム・ウナ)が現像を頼みにやってきます。それ以来、タリムはたびたび写真館を訪れ、徐々に2人は惹かれ合っていくのですが、ある日、何も伝えないままジョンウォンは入院することに…。
年齢差からジョンウォンを「アジョシ(おじさん)」と呼ぶタリム。毎日を丁寧に大切に生きるのだけれど、時に寂しさが溢れ出るジョンウォン。タリムの癒しの場所になっていた写真館。美しい思い出を残すために黙って姿を消す主人公。派手な起伏もなく、静かな空気が淡々と流れていくのですが、心に染み入ってきます。2005年に日本でもリメイクされました。
ロケ地となった写真館は韓国の西海岸にある湾岸都市、群山に残っています。今でも建物の前では記念写真を撮る人々が多くみられ、中に入ると撮影当時の写真や映画の場面写真が壁に飾ってあるそうです。

猟奇的な彼女

(2001年 クァク・ジェヨン監督)

1999年にネットに連載されたデート体験記が原作という、弱気で心優しい大学生が凶暴な彼女に振り回されるラブコメディ。ある日、大学生のキョヌ(チャ・テヒョン)は地下鉄の中で酔っぱらった彼女(チョン・ジヒョン)と出会うのですが、優しさゆえ周囲から彼氏だと間違われ、介抱することになってしまいます。正義感が強い上、暴力的で、キョヌを家来のように扱う彼女に振り回されっぱなしながら、だんだんと好きになり彼女を受け止める覚悟を決め奮闘します。
韓国特有のリアルな嘔吐シーンや「ぶっ殺す」が口癖の彼女に戸惑ったり、チョン・ジヒョンの今も変わらない美しさに驚いたりしながら前半のドタバタ劇を楽しんでいると、後半になるにつれ落ち着いた恋愛模様に変化していきます。「運命は努力した人だけに偶然という橋を架けてくれる」というセリフが心に残ります。エンディングに流れる「アイビリーブ」は美しい曲。私はカラオケでよく歌いました。

美女はつらいよ

(2006年 キム・ヨンファ監督)

日本の漫画「カンナさん大成功です!」(鈴木由美子作)が原作となっていますが、内容はずいぶん違うようです。肥満体の女性が全身の整形手術でスリムになり、歌手として、人間として成長していくコメディ、とはいえいろんな要素が入っています。
身長169㎝、体重95kgのハンナ(キム・アジュン)は人気シンガーの歌を代理で歌うゴーストシンガーでしたが、密かに思いを寄せているプロデューサーのサンジュン(チュ・ジンモ)さえ認めてくれれば幸せでした。ところがあるパーティーでサンジュンの思いがけない言葉に傷つき、一念発起。全身整形をして再びサンジュンの前に登場します。美しくなれば全てが上手くいくと思ったのですが、本音では整形を否定するサンジュン、父親や友人に自分だと言えないつらさ、ついには自分自身さえ捨てているのではと思うようになるハンナ。その上、ライバルから整形の事実を暴露されそうに…。
スリムなキム・アジュンですが、特殊メイクで撮影に臨んだことやボイストレーニングをして美しい歌声を披露していることも話題になりました。登場する歌がどれも素敵ですが、「マリア」を歌うシーンはパワフルで圧巻です。

サニー 永遠の仲間たち

(2011年 カン・ヒョンチョル監督)

日本でも2018年に篠原涼子主演でリメイクされたのでご存じの方も多いかもしれません。42歳の女性が離れ離れになった高校時代の友人を探しながら、再び人生に輝きを取り戻していくヒューマンストーリー。
夫と娘に囲まれ、裕福な暮らしをしていたミナ(ユ・ホジョン)は母親の入院先の病院で高校時代の友人、チュナ(チン・ヒギョン)に再会します。癌のために余命2カ月の彼女から「高校時代の仲良し仲間“サニー”のメンバーに会いたい」と懇願されますが、ある事件のためにバラバラになってしまい行方がわからないメンバーもいました。当時の仲間を探す旅を続ける中で、メンバーそれぞれに最も輝いていた時代がよみがえってきます。
ナミの高校時代を演じるシム・ウンギョンの笑える“怪演”や、彼女たちが青春時代を過ごした民主化を求める時代背景にも注目!ボニーMの「Sunny」、リチャード・サンダーソンの「愛のファンタジー」、シンディ・ローパーの「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」など、1970~80年代の懐かしの洋楽ヒットナンバーが、輝く時代を盛り上げてくれます。

エクストリーム・ジョブ

(2019年 イ・ビョンホン監督)

ヒットの度合いを表現する場合、“興行収入”と表現する国が多いのですが、韓国ではよく“観客動員数”1,000万人超えという言い方をします。この作品も1,600万人以上が見たという人気コメディです。
解散の危機にひんしていたコ班長(リュ・スンリョン)率いる麻薬捜査チームは起死回生のために潜入捜査をすることに。その方法というのが麻薬組織のアジト前にあるチキン店を買い取って営業しながら24時間体制で監視を行うというものでした。チキン店の営業は仮の姿だったのに、水原(スウォン)の焼肉店の息子で秘伝のカルビタレの製法を知る、絶対味覚の持ち主、マ刑事(チン・ソンギュ)のおかげ?で店は大繁盛。捜査する時間さえなくなるのでした。
登場する5人の刑事の個性が光る、笑えて、アクションも楽しめて、最後はスカッとなる作品。チキンが食べたくなるのは間違いありません。

1954年福岡生まれ。小6より結婚するまで東京で過ごし、大学卒業後出版社に就職するも、転勤族の夫と共に、宮城、山形、鹿児島、岡山など、全国を転々。福岡に戻り、フリーライターになって26年。現在は週1で1人暮らしの92歳の母宅と、双子を含む3人の子育てをする娘宅を訪問するのがルーティン。
2002年の初渡韓後、韓国のいろんなものにはまる。コロナ禍前は、2カ月に1回のペースで渡韓。これまで見た韓国ドラマは600本以上、映画は500本以上。

2022年2月1日

ライター:ノン鳥越

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